研究テーマ
1. 植食性昆虫、餌植物及び寄生蜂類の三者間相互作用解明
植物ー植食性昆虫ー捕食寄生性昆虫の三者間相互作用(三者系)は、自然生態系や農業生態系の基本構造の一つです。三者系において、植食性昆虫が餌とする植物種やその二次代謝産物(毒物質)が、寄生蜂の生態や行動に与える影響を調べることで、植物と捕食寄生蜂の間接的な関係の解明を目指しています。
Keywords: tritrophic interactions, plant defense chemicals, HIPVs, chemical ecology
(参考:Kuramitsu et al. 2016a; 藏滿・戒能,2018, Kuramitsu et al. 2019b; Isono et al. 2020)
2. キバチ類、キバチ類共生菌とその寄生蜂類に関する生態学的研究
植物の幹を食べる昆虫とその天敵昆虫の相互作用は、植物の葉を食べる昆虫とその天敵の相互作用と比べて理解が進んでいません。広葉樹を食樹とするヒラアシキバチ類とその寄生蜂類の系を材料に、森林生態系における樹木ー樹木食性昆虫ー共生菌類ー天敵昆虫類の四者間相互作用について、行動生態学や化学生態学的視点から研究しています。
Keywords: forest entomology, natural enemy, fungal symbiont
(参考:Kuramitsu et al. 2016b, 2019a, 2019c, 2019d)
(一般向け解説動画 [YouTube] )
3. オトシブミ科昆虫とその寄生蜂類に関する生態学的研究
オトシブミ科昆虫の多くは、メスが植物の葉を葉巻状に加工し、その中に産卵します。孵化した幼虫は葉巻の内部を食べて成長します。この葉巻の中に隠れている卵や幼虫は様々な捕食寄生性昆虫に寄生されることが知られています。オトシブミの揺籃の形や大きさと、寄生する蜂の種類や形態、寄生率を調べ、オトシブミとその寄生蜂類の軍拡競争の歴史を探っています。
Keywords: arms race, parasitism, plant manipulation
(参考:藏滿・小溝、2013; Kuramitsu & Komizo, 2014)
4. 各地域の昆虫相の解明
地域の昆虫相の解明は、自然史の理解、環境の保全、農林業の促進などに寄与する基本情報として重要です。学術調査や地方公共団体からの委託調査などを通して、国内各地の昆虫を中心とした生物相の解明に取り組んでいます。これまでの調査対象地域としては、奄美群島*、トカラ列島*、甑列島(以上鹿児島県)、つくば市、神栖市(以上、茨城県)、士別市(北海道)などがあります。
* 調査許可及び採集許可を得て調査しております。
Keywords: insect fauna, biogeography
(参考:Hosoya et al. 2017、Ikemoto et al. 2021など)
過去の研究
・飼養ミツバチが利用する花粉に含有される栄養分析および訪花昆虫相との相互作用
筑波大学保全生態学研究室ポスドク時代(2018-2020年)の仕事です
(参考:Nikkeshi et al. 2022)
これまでに主著論文(査読付き)で扱った昆虫
膜翅目
キバチ科
クロヒラアシキバチ Tremex apicalis Matsumura, 1912
ヒラアシキバチ Tremex longicollis Konow, 1896
タイワンヒラアシキバチ Eriotremex formosanus (Matsumura, 1912)
アメリカヒゲジロキバチ Urocerus albicornis (Fabricius, 1781)
ヒゲジロキバチ Urocerus antennatus (Marlatt, 1898)
ヒラタタマバチ科
ニホンヒラタタマバチ Ibalia japonica Matsumura, 1912
クロヒラタタマバチ Ibalia leucospoides leucospoides (Hochenwarth, 1785)
ヒメバチ科
エゾオナガバチ Megarhyssa jezoensis (Matsumura, 1912)
オナガバチ類の1種 Megarhyssa sp.1
コマユバチ科
オトシブミコマユバチ Bracon apoderi Watanabe, 1933
カリヤコマユバチ Cotesia kariyai (Watanabe, 1937)
鱗翅目
ヤガ科
アワヨトウ Mythimna separata (Walker, 1865)
鞘翅目
オトシブミ科
エゴツルクビオトシブミ Cycnotrachelus roelofsi (Harold, 1877)
ウスモンオトシブミ Apoderus balteatus Roelofs, 1874
コブオトシブミ Phymatapoderus latipennis (Jekel, 1860)
ゴマダラオトシブミ Paroplapoderus pardalis (Snellen fan Vollenhoven, 1865)
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